[著者情報]
渡辺 健一(わたなべ けんいち)/流通ジャーナリスト
25年間にわたり全国のスーパーや百貨店を取材。「生活者の食卓を守る」をモットーに、店舗再編が住民に与える影響を専門的に分析。テレビや雑誌での解説多数。
「地元のイトーヨーカドーがなくなるらしい」 ママ友との立ち話やSNSでそんな噂を耳にして、今、言いようのない不安を感じていませんか?
夕食の献立に迷った時の駆け込み寺であり、お子さんの学用品を揃える場所でもあったあの店が消えてしまう。それは単なる「お店の閉店」ではなく、私たちの生活リズムそのものが崩れてしまうような、切実な問題ですよね。
結論からお伝えすると、イトーヨーカドーは2026年2月末までに全国で33店舗を閉店することを決定しています。特に北海道・東北・信越地方からは「完全撤退」という厳しい現実があります。
しかし、悲観するばかりではありません。実は閉店する店舗の多くは、今勢いのある「ロピア」などの新勢力に引き継がれ、新しい買い物体験の場として生まれ変わる準備が進んでいます。
この記事では、流通ジャーナリストである私が、最新の閉店スケジュールから、跡地に入る「ロピア」で失敗しないための注意点、および手元のnanacoポイントを損せず使い切る方法まで、あなたの食卓を守るための情報を整理して解説します。
この記事の要約
イトーヨーカドーは2026年2月までに33店舗を閉店し、北海道・東北・信越から完全撤退します。重要な結論は3点です。①閉店跡地の多くは「ロピア」等のOICグループへ譲渡され新施設に再生。②ロピア転換後は「現金払いのみ」等の独自ルールに注意が必要。③閉店前にnanacoポイントを使い切り、代替店を体験しておくことが生活防衛の鍵です。
なぜ今、イトーヨーカドーが次々と閉まっているのか?
最近、お店に足を運んだ際「なんだか衣料品売場が寂しくなったな」「以前ほどの活気がないかも」と感じたことはありませんか? 『活気がなくなった』というあなたの直感は、実は正解です。
現在、イトーヨーカドーを運営するセブン&アイ・ホールディングスは、グループ全体の成長のために、好調なコンビニ事業(セブン-イレブン)に経営資源を集中させるという大きな決断を下しました。
かつては何でも揃う「総合スーパー(GMS)」として親しまれたイトーヨーカドーですが、現在はアパレル(衣料品)事業から原則撤退し、首都圏の食品部門に特化するという構造改革の真っ只中にあります。つまり、「イトーヨーカドー」と「セブン&アイ」の関係性が、これまでの『総合力』から『コンビニ・食品への集中』へと劇的に変化しているのです。
地方の不採算店舗を閉めるのは、企業としての生き残りをかけた苦渋の選択と言えます。しかし、それは私たち利用者にとっては「慣れ親しんだインフラの喪失」を意味します。だからこそ、私たちは「次に何が来るのか」を正しく知る必要があるのです。
【最新版】2024年〜2026年閉店予定店舗リストとスケジュール
あなたの街の店舗は対象に入っているでしょうか。現在判明している、2026年2月までの主な閉店・譲渡スケジュールをエリア別に整理しました。
特に北海道・東北・信越エリアにお住まいの方は、イトーヨーカドーというブランド自体が地域から姿を消す「完全撤退」となるため、早めの情報確認が不可欠です。
📊 エリア別 イトーヨーカドー閉店・譲渡予定(2024年〜2026年)
| エリア | 店舗名 | 閉店・譲渡時期 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 🗾 北海道 | 屯田店、福住店、琴似店など | 2024年〜2025年 | 完全撤退。多くはロピア等へ譲渡 |
| 🗾 東北 | 弘前店、青森店、花巻店、郡山店 | 2024年〜2025年 | 完全撤退。OICグループが承継 |
| 🗾 信越 | 長野店、上田店 | 2024年〜2025年 | 完全撤退 |
| 🗾 関東 | 拝島店、上板橋店、南松本店など | 順次 | 首都圏でも不採算店舗は整理対象 |
※リストに掲載されていない店舗の正確な閉店予定については、イトーヨーカドー公式サイトの『店舗検索』から、お近くの店舗ページを直接ご確認ください。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 2024年2月期 決算説明会資料 – 2024年4月公開
閉店後の跡地はどうなる?注目の「ロピア」と「CiiNA CiiNA」の正体
「お店がなくなるのは困るけれど、跡地に何ができるの?」という疑問が、今最も多い質問です。
ご安心ください。北海道や東北の主要な店舗跡地は、勢いのあるスーパー「ロピア」を傘下に持つOICグループへの譲渡が決定しています。OICグループへ譲渡されることになった店舗は、新ブランド「CiiNA CiiNA(シーナシーナ)」という商業施設として順次再出発します。
「イトーヨーカドー」と「ロピア(OICグループ)」は、店舗網を引き継ぐ『事業承継』の関係にあります。 2024年8月には、青森店と屯田店が先行して「CiiNA CiiNA」としてオープンしました。
ただし、これまでのヨーカドーと同じ感覚で買い物に行くと、少し戸惑うかもしれません。専門家の視点から、特に注意すべきポイントをまとめました。

買い物難民にならないために!今すぐやるべき「3つの生活防衛アクション」
「まだ閉店まで時間があるから」と油断してはいけません。直前になって慌てないために、今すぐ始めてほしいアクションが3つあります。
1. nanacoポイントの「出口戦略」を立てる
最も重要なのが、これまで貯めてきたポイントの扱いです。「nanacoポイント」と「イトーヨーカドー」は密接な関係にありますが、閉店後の跡地(ロピア等)では一切使えなくなります。 閉店間際はレジが混雑し、ポイントを使う余裕がなくなることもあります。今のうちに、セブン-イレブンやデニーズ、ロフトなど、他のグループ店舗で計画的に使い切るか、電子マネーに交換しておきましょう。
2. 閉店セールの「賢い回り方」を知る
閉店の1ヶ月〜数週間前からは、大規模なセールが始まります。閉店セールで狙うべき商品は、賞味期限の長い調味料や日用品などの「消耗品」です。 逆に、新生活で使う家電などは、アフターサービスの観点から慎重に検討することをお勧めします。
3. 代替スーパーを「比較・体験」しておく
ヨーカドーがなくなっても、あなたの生活は続きます。近隣のヨークベニマル(同じセブン&アイ系)やイオン、あるいは地元のスーパーへ、今のうちから「お試し」で買い物に行ってみてください。それぞれの店の「得意な食材」を把握しておくだけで、心の余裕が全く違ってきます。
【結論】: 閉店を「喪失」ではなく「家計見直しのチャンス」と捉え直してください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、ロピアのような「食の専門スーパー」は、ヨーカドーよりも生鮮食品のコスパが圧倒的に高い場合が多いからです。クレジットカードから現金管理に切り替えることで、結果的に無駄遣いが減り、食卓が豪華になったという主婦の方の声を、私は取材現場で何度も耳にしてきました。
「ヨーカドーロス」を乗り越えて、新しい買い物習慣を楽しもう
長年通ったお店がなくなるのは、本当に寂しいものです。店員さんと交わした挨拶や、お子さんと歩いた売場の風景は、大切な思い出ですよね。
しかし、イトーヨーカドーの閉店は、あなたの街が衰退することを意味するわけではありません。むしろ、今の時代に合った新しい形のスーパーがやってくる「進化」の過程でもあります。
まずは今日、手元のnanacoカードの残高を確認することから始めてみませんか? 変化を正しく恐れ、賢く準備をすることで、あなたの食卓の笑顔はこれからも守り続けることができます。
新しいお店がオープンした時、「意外と便利になったね」と笑い合える日が来ることを、心から願っています。
[参考文献リスト]
