もう現場で迷わない!鉄筋の規格・サイズの見分け方完全ガイド 〜図面と現物をつなぐロールマーク解読術〜

鉄筋の規格を解説する記事のアイキャッチ画像

「明日の配筋検査までに、この現場の鉄筋がちゃんとSD345か確認しておけよ」

先輩からそう言われて、図面と山積みの鉄筋を交互に見つめながら、内心「どうやって見分ければいいんだ……」と焦っていませんか?図面には「SD345」や「D13」といった記号が並んでいますが、目の前にあるのは泥にまみれた無骨な鉄の棒。どれがどれなのか、確信が持てずに立ち尽くす不安は、新人監督なら誰もが通る道です。

結論から言いましょう。鉄筋の正体を知る鍵は、表面に刻まれた「点(突起)」の数にあります。

この記事では、JIS規格に基づいた「ロールマーク」の読み方を軸に、現場で即座に鉄筋の規格とサイズを特定する方法を解説します。ロールマークの読み方を習得していれば、もう先輩の急な質問に言葉を詰まらせることはありません。根拠を持って「これはSD345です」と言い切れる、プロの第一歩を踏み出しましょう。

この記事の要約
鉄筋の規格(SD345等)を識別するには、表面の「ロールマーク(突起の数)」を確認するのが最も確実です。JIS規格により、SD345は突起1つ、SD390は突起2つと定められています。サイズ(D13等)は公称直径であり実寸とは異なるため、対照表での確認が重要です。この識別法により、現場での誤配筋を未然に防げます。


[著者情報]

佐藤 健一
一級建築施工管理技士 / 鉄筋工事 技術監修
現場歴25年

大規模マンションや公共施設の施工管理を歴任し、現在は若手監督の育成に従事。これまでに100名以上の新人を指導し、「現場の泥臭い実務とJIS規格を紐付ける」独自の教育法に定評がある。

JIS規格適合性確認済み

[監修者情報]

監修:構造設計一級建築士事務所 本記事の内容は、建築基準法およびJIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)の最新基準に基づき、構造安全性の観点から正確性を検証しています。


目次

H2-1: なぜ「色」ではなく「刻印(ロールマーク)」を見るべきなのか

現場に搬入された鉄筋の端っこが、黄色や白に塗られているのを見たことがあるでしょう。「SD345は黄色」といった具合に、現場ごとに色分けのルールが決まっていることが多いからです。しかし、ベテラン監督ほど「色は信じるな、刻印を信じろ」と口を酸っぱくして言います。

なぜなら、現場の「色分けペイント」はあくまで便宜上の慣習であり、JIS規格で定められた絶対的な識別方法ではないからです。

想像してみてください。激しい雨が降った後の現場を。泥にまみれた鉄筋の端面は、もはや何色だったか判別できません。また、加工のために鉄筋を切断してしまえば、ペイントされた端部はなくなってしまいます。

一方で、鉄筋の表面に鋳出された「ロールマーク(刻印)」は、JIS規格によってその形状が厳格に定められています。 どんなに泥を被っても、切断されても、鉄筋そのものが存在する限り、ロールマークは規格(SD345なのかSD390なのか)を証明し続けてくれるのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 配筋検査の際は、必ず鉄筋の「腹」を見て、ロールマークを確認する癖をつけてください。

なぜなら、色分けだけに頼っていると、切断後の端材を誤って配筋してしまう「誤配筋」のリスクを完全には排除できないからです。私自身、新人の頃に色を過信して、強度の足りない鉄筋を組んでしまい、全てやり直しになった苦い経験があります。ロールマークによる識別という知見こそが、あなたを守る唯一の証拠です。

佐藤 健一

H2-2: 【図解】SD345は突起1つ!鉄筋規格のロールマーク解読術

それでは、具体的にどうやってマークを読むのかを解説します。私たちが現場で最も頻繁に扱う「異形棒鋼(SD)」には、その強度(降伏点)に応じて、表面の「節」の間に識別用の突起が刻まれています。

SD345とSD390は、見た目はそっくりですが、構造計算上の強度が全く異なる「別物」です。 これらを一瞬で見分けるためのルールは、驚くほどシンプルです。

  1. SD295A: マークなし(メーカー識別マークのみ)
  2. SD345: 突起が 1つ(「・」)
  3. SD390: 突起が 2つ(「・・」)
  4. SD490: 突起が 3つ(「・・・」)

※メーカーによっては、数字そのもの(「34」など)が刻印されている場合もありますが、基本はこの「点の数」で覚えましょう。慣れてくれば、山積みの鉄筋の中からSD345を10秒で見つけ出せるようになります。

🎨 ひと目でわかる!鉄筋規格の見分け方

鉄筋の規格(SD295A, SD345, SD390)ごとのロールマーク(突起の数)の違いを示す図解。SD345は突起1つ、SD390は突起2つ。

H2-3: D10、D13…「呼び名」と「実際の太さ」の落とし穴

規格(強さ)がわかったら、次はサイズ(太さ)です。図面には「D13」や「D16」と書かれていますが、この「D」の意味を正しく理解していますか?

「D」は Deformed(異形)の頭文字であり、表面に凹凸がある鉄筋であることを示しています。 そして、続く数字は「おおよその直径」を表していますが、ここで新人が陥りやすい落とし穴があります。

実は、D13の鉄筋をノギスで測っても、きっちり13.0mmにはなりません。 異形鉄筋には「節」や「リブ」という凸凹があるため、測る場所によって太さが変わってしまうのです。

実務では、以下の比較表にある「公称直径」という概念を理解しておくことが重要です。

📊 鉄筋の呼び名と実寸・重量の目安

🔖 呼び名 φ 公称直径 (mm) 📏 最大外径 (目安) ⚖ 1mあたりの重さ (kg/m)
D10 9.53 約 11 mm 0.560
D13 12.7 約 14 mm 0.995
D16 15.9 約 18 mm 1.56
D19 19.1 約 21 mm 2.25
D22 22.2 約 25 mm 3.04

この比較表をスマホで画像保存しておけば、現場でノギスを当てる際に迷うことはありません。SD345のD13SD345のD16 は、強度は同じですが、太さが違います。現場で「これD13かな?」と迷ったら、隣にある明らかに太い(または細い)鉄筋と見比べてみてください。サイズの見極めは、比較対象を持つことで格段に正確になります。


H2-4: FAQ:現場でよくある「こんな時どうする?」

Q. 刻印が泥や錆で見えにくい時はどうすればいいですか? A. ワイヤーブラシで軽くこするか、ウエスで拭いてください。それでも見えにくい場合は、同じ束から搬入された別の鉄筋を確認しましょう。JIS規格品であれば、必ずどこかに刻印があります。

Q. メーカーによってマークの形が違う気がするのですが……。 A. はい、メーカーを識別するためのアルファベットや記号も一緒に刻印されています。しかし、「規格を示す突起の数」というルールはJISで共通ですので、まずは点の数に注目してください。

Q. 丸鋼(SR)には刻印がないのですか? A. 表面に凹凸がない「丸鋼(SR235など)」には、ロールマークはありません。丸鋼は主に端部の色分けで管理されますが、現在の建築現場の主要構造部で使われるのは、ほぼ「異形棒鋼(SD)」です。


【保存版】現場で即座に使える!配筋検査チェックリスト

✅ 配筋検査チェックリスト
  • 規格の確認: ロールマーク(突起の数)で直接確認したか?
  • サイズの確認: 呼び名(D13等)と現物の太さに違和感はないか?
  • 混入の確認: 切断後の端材に誤った規格が混じっていないか?
  • 視認性の確保: 泥や錆で見えない場合、清掃して確認したか?

まとめ:「根拠がある」から自信が持てる。プロの第一歩は鉄筋から

新人監督にとって、現場はわからないことの連続です。しかし、今回学んだ「ロールマーク」という知識は、JIS規格という国家基準に裏打ちされた、誰にも否定できない「絶対的な根拠」です。

  1. 色は補助、刻印が主役。 雨や切断に左右されないロールマークを確認する。
  2. 突起の数で強度を見抜く。 1つならSD345、2つならSD390。
  3. サイズは「D」の後の数字。 ただし実寸は凸凹があることを忘れない。

明日、現場へ行ったら、まずは足元にある鉄筋を1本、じっくり観察してみてください。表面の小さな突起が見えた瞬間、あなたは「ただの鉄の棒」を「設計図通りの構造部材」として認識できるようになります。その積み重ねが、職人さんや先輩からの信頼につながっていくのです。

自信を持って、明日の配筋検査に臨んでください!


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