「テテテテトテト」という中毒性のあるフレーズが頭から離れないけれど、いざカラオケで歌おうとすると舌が回らないし、息が続かなくて酸欠になりそう…そんな経験はありませんか?
実は、柊マグネタイト氏の楽曲『テトリス』を歌詞カード通りに真面目に歌おうとすることは、失敗の元です。この曲には、文字として読む歌詞とは別に、「歌うための隠されたリズム」が存在するからです。
この記事では、ボカロ曲専門ボイストレーナーである私が、難所の「Q.」の処理から、プロが実践している「ブレス(息継ぎ)位置」までを書き込んだ、「歌うための歌詞マップ」を公開します。これを読めば、次のカラオケで『テトリス』を絶対に噛まずにフルコンボできるようになりますよ。
この記事を書いた人
👤 K-SK(ケイスケ)/ボカロ曲専門ボイストレーナー
専門領域: 高難易度ボカロ曲の歌唱指導、リズムトレーニング 実績: 「歌ってみた」動画総再生数50万回超。オンラインレッスンで延べ200人以上の生徒に「早口曲」を指導し、完唱させてきた実績を持つ。 スタンス: 「難しい音楽理論」よりも「明日カラオケで使える実践テクニック」を重視。自身も初見で『テトリス』に挑み、酸欠で倒れかけた経験を持つ(笑)。
なぜ『テトリス』はこんなに歌いにくいのか?(BPM170の罠)
「なんでこんなに練習してるのに、口が回らないんだろう…」 もしあなたがそう落ち込んでいるなら、安心してください。それはあなたのせいではありません。
柊マグネタイト氏の『テトリス』は、BPM170という非常に速いテンポで進行します。このBPM170という速さに加えて、歌詞には「積みゲー(テトリス)」と「詰みゲー(人生の行き詰まり)」を掛け合わせた膨大な情報量が詰め込まれています。
僕の生徒さんも、最初はみんな同じ場所で躓きます。脳が歌詞の意味とリズムを同時に処理しようとして、「処理落ち」を起こしてしまうのです。つまり、『テトリス』を歌いこなすためには、歌詞を「言葉」としてではなく、「リズムを刻むための記号」として捉え直す必要があります。
まずは、「噛むのは当然」と開き直りましょう。その上で、脳の処理を軽くするための「攻略法」をこれから伝授します。
【Aメロ攻略】最大の難所「Q.」は歌うな!リズムの正解
この曲で最も多くの人がリズムを崩す原因となっているのが、Aメロの歌詞にある「Q.」という表記です。
具体的には、「Q.更新で降る〜」や「Q.超酷え〜」といったフレーズです。ここを歌詞カード通りに「キュー」と発音しようとしていませんか? 実は、「Q.」を発音しようとすることが、その後のリズム崩壊の直接的な原因になっています。
「Q.」は発音しない「無音のアクセント」
結論から言うと、歌詞にある「Q.」は歌ってはいけません。 この「Q.」は、作詞上の演出であり、歌唱においては「裏拍(うらはく)で感じる無音のアクセント」として処理するのが正解です。
以下の図解イメージを見てください。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「Q.」の文字が見えたら、一瞬だけ息を止めて、次の文字へ全力でダッシュしてください。
なぜなら、この「Q.」はリズムゲームで言うところの「空白」だからです。多くの人が文字を見ると反射的に読み上げてしまいますが、「Q.」を無視する勇気を持つだけで、驚くほどリズムがハマるようになります。僕もこれに気づいてから、Aメロが一番楽しいパートに変わりました。
【サビ&全体攻略】「読むだけで歌える」ブレス位置付き歌詞解説
ここからは、サビを含む楽曲全体の攻略です。 『テトリス』のような高速曲では、のんびり息を吸っている暇はありません。ブレス(息継ぎ)は「吸う」のではなく、短く鋭く「捨てて吸う」技術が必要です。
以下に、具体的なブレス位置(v)と、歌い方のニュアンス(/で区切り)を記した攻略マップを作成しました。
1. Aメロ:早口パートの処理
v(ウン)こーしんで/ふるいんせき/まっしょうか?v(ウン)ちょーひでえ/せいしんせー/じょうちょふあん
- ポイント: 前述の通り、「Q.」の箇所は(ウン)と裏拍を感じて、直後の「こ」「ちょ」にアクセントを置きます。
- ブレス: フレーズの切れ目で、一瞬だけお腹をへこませて息を吐き(捨てて)、その反動で空気が入ってくるのを利用します。
2. Bメロ:リズムキープの重要性
vパパラパラパラ/ちらつく/ざんぞーvタタラタラタラ/あたまが/いたいよ
- ポイント: 「パパラパラパラ」や「タタラタラタラ」は、言葉の意味を考えず、楽器の一部になったつもりで無機質に刻んでください。
- カタカナ語: 「近未来しか勝たん」などの部分は、意味よりも語感(韻)を重視して、跳ねるように歌うと原曲の疾走感が出ます。
3. サビ:コロブチカ(民謡)パートの表現
vテ・テ・テ・テ/ト・テ・ト/あわせて/きえるv1・2・3・4/よんれつ/ぼーなす
- ポイント: ここが一番の盛り上がりです。ロシア民謡「コロブチカ」のメロディに合わせて、一音一音を短く切る(スタッカート)ように歌ってください。「テテテテ」と繋げるのではなく、「テ・テ・テ・テ」と粒を立たせることで、テトリスのブロックが積み上がるような「ゲーム感」が演出できます。
📊 『テトリス』パート別歌唱テクニックまとめ
| パート | 難易度 | 攻略のキーワード | 具体的なアクション |
| :— | :— | :— | :— |
| Aメロ | ★★★★★ | 「Q.」の無視 | 「Q.」を発音せず、裏拍でリズムを取る |
| Bメロ | ★★★☆☆ | 無機質さ | 楽器になりきって淡々とリズムを刻む |
| サビ | ★★★★☆ | スタッカート | 一音ずつ短く切り、ブロック感を出す |
よくある質問(キー設定・音域・練習法)
最後に、僕のレッスンで生徒さんからよく受ける質問に答えておきます。
Q. 音が高すぎて声が出ません。キーを下げてもいいですか?
A. 全然OKです!無理せずキー変更しましょう。 『テトリス』の地声最高音はhiD(高いレ)です。これは女性曲としてもかなり高い部類に入ります。無理に原曲キーで叫ぶよりも、キーを「-2」か「-3」に設定して、余裕を持ってリズムに乗る方が、結果的に原曲のかっこよさを再現できます。疾走感はキーを下げても消えません。
Q. どうしても早口言葉で噛んでしまいます。
A. YouTubeの再生速度変更機能で「0.75倍」から始めましょう。 いきなり原曲の速さ(BPM170)で練習するのは、レベル1でラスボスに挑むようなものです。YouTubeの再生速度を「0.75倍」に落とし、まずはゆっくりと口の動きを馴染ませてください。口が歌詞を覚えたら、徐々に速度を上げていくのが最短ルートです。
まとめ:さあ、カラオケで「4列消し」の爽快感を!
『テトリス』は確かに難易度の高い曲ですが、今回紹介した「Q.を歌わない」「ブレスは捨てて吸う」「サビはスタッカート」という3つのポイントを押さえるだけで、歌いやすさは劇的に変わります。
この曲をミスなく歌い切った時の爽快感は、ゲームのテトリスで「4列消し(テトリス)」を決めた時の比ではありません。
ぜひ、今すぐスマホでこの記事を表示したまま、カラオケで予約を入れてみてください。あなたの歌声が、この難解なパズルを解き明かす鍵になるはずです!
参考文献・リンク
- [YouTube] 柊マグネタイト – テトリス feat.重音テト – 柊マグネタイト公式チャンネル
- [Web] テトリス / 柊マグネタイト 歌詞 – UtaTen(うたてん)